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気になる事16

世界遺産に登録された熊野古道に鎮座していた牛馬王子の石仏が、何者かによって首から上が壊され、持ち去られるという事件が発生した。
この心無い行為は、多くの熊野古道を愛する人々に大きな失望を与えると共に、取り返しのつかない事態となった。しかし残念ではあるが、予想されていた事である。世界遺産としての登録を済ませたからには、子々孫々へと熊野古道を守り引き継いで行く為の取り組みに重点を置くべきであるのに、県民も登録により、お客が増える事を願い、増えたことを喜んだ。そしてリュックを背負ったお客は、あまり物を買わない、お金を落とさないと不満を聞かされる事もある。しかし、そもそも「世界遺産登録」とは、どういうことなのかを考えてみなければならない。
世界遺産登録とは、全地球的に全人類の遺産を後世へ残す為の取り組みである。今から遡ること1000年前の昔、京の人々が数拾日をかけ、はるばる熊野三山へお参りに繰り返し通った祈りの道が、1000年後の今日において、ほぼ当時のままに保全されていた事が評価を受けたのである。純粋にこの一点を考えなければならない。よもや金儲けのチャンスが来たなどと考えるべきではない。当時のままにそっとしておくべきである。
大勢の人が古道にはいると、人為的な器物損壊や、山火事の発生、大陸の入山者に踏み荒けられる事による環境破壊や、山の動物との遭遇によるトラブルなど1000年の長きに亘り、発生する事が無かった事故やトラブルが発生する。恐らく今後数拾年もすれば現況が一変し、凡そ世界遺産とはかけ離れた状況となる事が心配される。世界遺産の破壊である。それは世界人類に対する大きな背信行為である。世界遺産へ登録を選択したその日から熊野古道を守る為に不特定多数の人々を入山させるべきではなく、寧ろ人を遠ざけるべきである。遠くから見守る事が、神々が宿ると言われている熊野を守る事になるのである。現在に生きる我々がしなければならない事は、この事である。

テーマ : 政治・経済・時事問題
ジャンル : 政治・経済

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Author:紀南松ぼっくり
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